教育方針・体制
小児総合医療施設である当院に受療する子どもの年齢は、未熟で繊細なケアを必要とする新生児から、乳幼児期から成人期へと移行していく各段階の子どもまで、幅広いのが特徴です。先天性の疾患や複雑心奇形を含む手術は年間2,600例以上、救急車搬送件数は年間1,000件以上あり、クリティカルケアを必要とする子どもが数多く入院しています。
新病院では、HCUの新設、GCU・産科の増床、診療科新設に伴う一般病棟の病床利用の増加などによって、重症系・周産期医療への対応を強化して、母胎管理から出生後のケアまで継続した看護を提供しています。そのほか、進行性疾患や難治性疾患、障がいなどにより、長期的・慢性的ケアが必要になる子どもも多いため、医療的ケアが必要な子どもと家族へのケア、在宅支援、大人になるための移行支援にも力を入れています。さらに、看護職は虐待などの社会的問題や家族関係の複雑化などによる小児医療の課題にも関わる必要があります。このようなケアの対象特性に鑑み、当院看護部では、病院理念、看護部理念に基づき、高度専門医療に対応した質の高い最善の看護を患者に提供できる看護職を育成したいと考えています。
教育方針
病院における看護の質は、看護を提供する各看護職員の資質にかかっています。その看護職員の資質を向上させるためには教育が重要です。当院には、職種間を問わず開設時から培われた人材育成の風土・素地が存在します。このような環境の中で、一人ひとりが自分の持っている力を発揮しながら、キャリア開発に主体的に取り組みつつ、臨床能力を高め、専門職業人として自律した行動がとれるような看護職の育成を目指しています。
教育目的
- 病院の理念及び看護部の理念・方針に基づいて、高度専門医療に対応できる看護職を育成します。
- 専門職業人として臨床看護実践能力を高め、患者ケアの質の向上を図ります。
- 仕事に対する意欲と満足感を高め、職級(レベル)に応じた役割が果たせるよう、研修や学会参加などの機会を提供します。
- 国内・国外からの研修生や実習生を受け入れ、相互に学び合うと共に、専門職業人としての成長を支援します。
クリニカルラダー
平成22年度に、看護職の能力評価、能力向上への動機付け、職務満足度の向上を目的に、クリニカルラダーを導入しました。また、2020年度には、より看護実践に特化したJNAクリニカルラダーを導入しました。看護実践習熟度は、レベルⅠからⅤまでの5段階で到達レベルを設定しています。対象者は、看護師長、副看護師長を除く全看護職です。
教育プログラム
教育方針に掲げているように、当院看護部では、持っている力を発揮しながらキャリア開発に主体的に取り組んでいけるよう、臨床能力を高め、専門職業人として自律した行動がとれる看護職の育成を目指しています。新採用から卒後3年目までは経年別必修プログラムを受け、クリニカルラダー別の研修プログラムに進みます。看護職員は、臨床現場でチームメンバーとして実践し、チームリーダーとして役割を果たすほか、キャリアの向上に伴い、院内の委員会の委員、学生指導者、実地指導者などの教育的役割を取るようになります。現場のエキスパートとして機能していく場合、大学院進学や専門看護師、または認定看護師養成課程への進学の道もあります。また、看護管理者としてのキャリア開発には、認定看護管理者コース研修を受講する方法もあります。
- キャリア開発・キャリアパス[174KB]PDF
看護職員教育・指導体制
研修責任者である教育担当看護師長を長とした教育委員会により、研修企画・運営・実施・評価を行っています。各部署における教育担当者は副看護師長で、実地指導者と共に部署の看護職員の指導・教育を行います。各新卒新人看護職員に対して、決まった相談相手としてサポーターを配置して、悩み事や生活状況など広範囲にわたり、精神面を中心として相談や支援を行っています。当院では、経験年数が1~2年上の先輩看護職員がそのサポーター役を担っています。また、卒後2年目以上のスタッフに対しては、教育担当看護師長と看護部教育委員会が中心となって、キャリアアップ支援を行います。看護部では、臨床現場のマネジメント能力を身に付けることや、専門性を持った看護師(専門看護師や認定看護師等)の育成支援にも力を入れています。
- 教育体制[143KB]PDF
新採用者研修
- 研修目標
- 日常生活援助のための知識・技術・態度を身につけ、安全にベッドサイドケアを行う。
- 看護基準・手順に従って、指導を受けながら、日常の看護を実践する。
- チームの一員として、自覚と責任ある行動をとる。
- 院内研修・看護実践を通じて看護の知識を深める。