循環器センター
センターの特徴
循環器センターは、“小児科医による循環器科”と“外科医による心臓血管外科”のふたつのチームで構成されています。1980年に福岡市立こども病院が中央区唐人町で開院して以来35年、看板チームとしてこども達の心臓病の診療(治療)に当たっています。担当する病気は、
- 生まれながらの心臓病(先天性心疾患)と
- 学校心臓検診などで診断される不整脈や心筋症といった生まれた後にかかる心臓病(後天性心疾患)
に分けられます。こどもの心臓病治療が可能な病院は全国的に少なく、当センターには遠方から患者さんが来られます。50%以上は福岡県外からで、ときに重症な患者さんは、病院に整備されたヘリポートを利用してヘリコプターで搬送されてきます。
先天性心疾患
生まれながらの心臓病は種類が多く、内科治療のみでは治すことができないものが多いために、小児科医と外科医のチーム医療が欠かせません。2019年には胎児循環器科が新設され、お母さんのおなかの中の赤ちゃん(胎児)が心臓病と疑われる症例の紹介も増え、出生直後に治療が必要とされる患者さんは周産期センター(産科・新生児科)とも協力し、当院で出生し、待機可能な患者さんは出生後に当院に搬送していただくという体制を作っています。手術は心臓血管外科が、外来・入院中の検査などは循環器科が担当します。心臓病手術は年間400~500件以上、開院以来の延べ手術数は10,000件以上となり、術後患者数は9,000人を超えました。循環器科が担当する心臓カテーテル検査・治療は年間500件以上で、延べ23,000件を超え、患者数でも10,000人を超えました。治療を受けた患者さんの大半は制限のない生活を送っています。しかし、患者さんには生涯にわたる管理の継続が望まれますので、成長された患者さんには、九州大学病院をはじめとした成人循環器内科にご紹介しています。
後天性心疾患
循環器科は、学校心臓検診にも積極的に参加し、学校保健、地域医療に貢献しています。検診の目的は、診断されていない心臓病や命に関わる危険な不整脈などの発見です。不整脈などが指摘された児童生徒に対しては、専門的な検査結果に基づいた生活指導、薬による治療、および特別なカテーテル法による治療(カテーテルアブレーション)を行います。このように循環器センターは、当院の力を結集して適切な治療に努め、お子さんを一日でも早く元気にご家族のもとにお返しできるよう努めています。
センター長より
お子様が心臓病を疑われたり、診断されたご家族の心配は大変なものでしょう。外来は主治医制で、お子さんの病気をよく理解した医師が診療にあたります。かかりつけの小児科医などを通じて受診予約をお取りください。循環器センターの窓口は外来・入院ともに循環器科で、手術入院時も循環器科が受け持ちます。術後も心臓血管外科医とともに循環器科がサポートしています。私たちはチームとして、これまでに蓄積した経験と最新の医療機器を駆使し、お子さまに最適な医療を提供したいと思っています。担当医から十分な説明を受け、納得して治療を受けてください。また、先天性心疾患は種類が多く、同じ病名の方でも治療方法や治療成績(結果)が同じではありません。お子さまの病気を他の方と比較することは意味がありません。
全国的にこの領域の専門医は少なく、当センターのように複数の専門医によるチーム医療を展開する施設は限られます。少ない専門医がその力を十分に発揮でき、一人でも多くの心臓病のこども達が最良の医療を受けられるように、患者さん・ご家族にもご理解とご協力をお願いしています。力をあわせて、こども達の心臓病に向かい合ってゆきましょう。
循環器センター長
佐川 浩一