福岡市立こども病院

腎疾患科

当科について

診療内容

腎疾患科では、腎臓や尿路(腎臓から膀胱へ尿が流れていく経路)に関係した様々な疾患の診療を行っています。診断では、尿検査・血液検査に加えて、超音波検査や各種の造影検査、放射性同位元素検査などを行い、必要があれば腎臓の組織を少量採取(腎生検)して病理学的検査を行います。また、他大学と協力し、遺伝子解析も行っています。治療では、IgA腎症をはじめとする各種の腎炎やネフローゼ症候群などに対して、必要に応じステロイド薬や各種の免疫抑制薬などを使用します。また、先天性腎尿路異常に対しては、泌尿器科と密接に協力して、腎・泌尿器センターとして総合的な診療を行っています。末期腎不全に至った患者さんには透析療法(小児では腹膜透析が多い)を行い、腎臓移植も近隣の大学病院と協力して積極的に進めています。

小児の腎臓・尿路の疾患の診療を幅広く行っており、セカンドオピニオンにも対応していますので、お気軽にご相談下さい。

科の特徴・特色

腎・泌尿器センター

小児の腎臓病では尿路に関連した疾患が多く、慢性腎不全の原因の半数以上を占めています。当センターは、小児専門医療施設では唯一の腎・泌尿器センターで、小児腎臓専門医と小児泌尿器専門医とが合同回診・合同カンファレンスを行い、内科外科の区分に関わらず一致協力して総合的な診療にあたっています。

日本腎臓学認定教育施設

当院は、小児専門医療施設ですが当科は日本腎臓学教育施設に認定されており、認定指導医の指導の下に診療を行っています。

多数の診療経験

当科の延べ外来患者数は年間約5,000名、入院患者数は年間約100名、腎生検は年間約30?50件と多く、福岡都市圏だけでなく、福岡県全域あるいは九州・山口県の各地からも患者さんが受診されています。これまでの豊富な経験を生かしつつ、ガイドラインなどのエビデンスに基づいた診療を重視していますが、患者さん・ご家族それぞれのご事情に対する配慮も忘れぬよう心がけています。

腎臓移植

近隣の大学病院と協力して小児の腎臓移植を推し進めています。最近は人工透析への導入前に移植を行う、先行的腎臓移植を行う患者さんが増えています。

そらまめ会

1996年より「そらまめ会」と名付けた患者さん・ご家族との勉強会を定期的に開催して、正しい医学的知識や情報を伝えるとともに、質問や希望、意見などを直接うかがって相互理解を図る場としています。また、患者さん・ご家族相互の連携の場としても有用な役割を果たしています。

診療科より

  • 予約制
    新患、再来ともにすべて予約制です(お急ぎの場合はお問い合わせください)。
  • 初診
    木曜日を除く月曜~金曜日の午前中です。
  • 早朝尿
    腎臓の病気では検尿結果が非常に重要です。前日就寝前に排尿し、当日の早朝尿を採取してご持参下さい。容器は当科外来でお配りしていますが、密閉できる容器を洗ったものであれば構いません。採取できなかった場合は、来院時の尿で検査いたしますのでお申し出ください。
  • 女子の月経について
    月経中の尿は血液が混入し、正常と異常の区別が困難になります。可能であれば月経の終了から3日間ほど間隔を置いて受診下さるようお願いいたします。
  • 受診日の変更
    学会参加などにより当科の医師が不在の場合もありますので、受診日を変更される際は、「LINE」あるいは当院ホームページからのメール、あるいは電話にて予約センターへ変更の連絡をお願いいたします。
  • 予約時刻
    当科の診察は、原則として検尿あるいは血液検査の結果が判明してから行います。予約時刻は来院いただく時刻で、診察時刻ではございませんのでご了承ください。
主な対象疾患

主な対象疾患

学校検尿などの集団検尿で発見された尿異常の精密検査

症状がないのに尿の異常を指摘されて来院される方がほとんどです。軽症の方が多いのですが、重大な疾患が隠れていることもあります。尿異常を指摘された方は必ず精密検査を受けて下さい。

感染後急性糸球体腎炎

溶連菌による咽頭炎などのあとに血尿や浮腫(むくみ)が出現することがあります。長期予後は良好な疾患ですが適切な管理が必要です。

各種慢性糸球体腎炎

学校検尿などで血尿や蛋白尿を指摘され、多くは無症状で発見されますが、肉眼的血尿で発見されることもあります。日本人で最も多い糸球体腎炎であるIgA腎症に対して、当科では必要に応じてステロイドパルスに免疫抑制薬など複数の薬剤を併用したステロイドパルス+カクテル療法を行っています。家族性の血尿は、長期予後が不良なアルポート症候群(腎臓の糸球体蛋白の異常)のことがあり、詳しく家族歴をお聞きした上で経過観察と診断・治療をいたします。

ネフローゼ症候群

大量の蛋白尿のために血液中の蛋白が減少し、浮腫(むくみ)が出現する疾患です。小児では多くの患者さんでステロイド薬が有効ですが、再発が多いことが特徴です。再発が多い患者さんには各種の薬剤を用いて再発を防止します。治療が難しい難治性の患者さんも少なくありません。

IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)

紫斑(皮下出血)・腹痛・関節痛を特徴とする疾患です。痛みが激しい場合はステロイド薬を投与します。腎炎(紫斑病性腎炎)を合併することが多く、大半は軽症ですが重症化する場合もあります。

尿路感染症

尿に細菌が侵入して膀胱や腎臓に炎症を引きおこします(膀胱炎・腎盂腎炎)。抗菌薬(抗生物質)による治療を行いますが、腎臓や尿路の異常が原因のことも多いため、必要に応じて造影検査などを行い、原因を調べます。

先天性腎尿路異常

尿路の閉塞のため腎盂に尿が貯留して拡張する水腎症や、膀胱から腎盂への尿逆流のため尿路感染を繰り返す膀胱尿管逆流、先天的に腎臓がない腎無形成、小さい低形成腎、構造に異常がある異形成腎、のう胞が多発する多のう胞腎など、様々な疾患が含まれます。家族性である場合や遺伝子の異常が原因のこともあります。血尿や蛋白尿はないことが多いため学校検尿では発見が難しく、診断が遅れてしまうことがあります。

急性腎不全(急性腎障害)

様々な原因で腎機能が急速に低下した状態です。原因を精査し治療しますが一時的に人工透析を行うこともあります。小児で最も多い原因は、病原性大腸菌(O-157が最も多い)による溶血性尿毒症症候群(HUS:Hemolytic Uremic Syndrome)です。

慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)

どのような原因であるかに関わらず、慢性に経過するすべての腎臓病を含んだ総称です。成人では1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)もの患者さんがいると言われています。腎機能が徐々に低下して末期腎不全(人工透析や腎臓移植が必要な状態)に陥ることがあるので、必要に応じて薬剤などによる腎保護療法を行います。

慢性腎不全

腎機能が徐々に低下し、正常の30%以下となった状態です。残念ですが正常な腎機能に回復することはありません。腎機能が10?20%以下に低下した状態を末期腎不全と呼び、腎臓に替わって老廃物を除去する治療(腎代替療法と呼びます)として、人工透析あるいは腎臓移植が必要になります。末期腎不全にまで至ってない腎不全の状態を保存期腎不全と呼びます。

腎代替療法

人工透析は成人では血液透析が主ですが、小児では血管が細いことなどがあり腹膜透析が行われます。腹膜透析は自宅で透析を行う治療で、通学の制限などが少なく小児に適した透析方法です。腎代替療法としては正常に近い腎機能が得られる腎臓移植が小児に最も適した治療です。近年治療成績の向上により、人工透析を行わずに移植を行う先行的腎臓移植が増えてきました。最近では生体腎移植だけでなく、献腎による先行的腎臓移植も行われています。

主な疾患名

  • ・ネフローゼ症候群
  • ・急性糸球体腎炎
  • ・慢性糸球体腎炎(IgA 腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、巣状分節状糸球体硬化症など)
  • ・間質性腎炎
  • ・IgA 血管炎
  • ・紫斑病性腎炎
  • ・嚢胞性腎疾患(多発性のう胞腎、多のう胞性異形成腎、ネフロン癆など)
  • ・先天性腎尿路異常(膀胱尿管逆流、水腎症、低形成腎など)
  • ・遺伝性腎疾患(Alport症候群、Dent病、常染色体優性尿細管間質性腎疾患など)
  • ・溶血性尿毒症症候群、急性腎不全、慢性腎不全など
診療実績

診療実績

2023年4月~2024年3月

外来延べ患者数 5,027名
入院患者数 114名
腎生検数 25件
排泄時膀胱尿道造影 37件
 
医師紹介
現在、新体制への移行に伴い、医師紹介ページの内容を順次更新しております。
ご不便をおかけしますが、何卒ご了承ください。
FAQ

FAQ

検尿異常を指摘されましたが、症状は全くなく尿の色も正常です。精密検査を受けなければいけませんか?

腎臓病は具体的な症状がなくても進行することがあり「沈黙の臓器」と呼ばれています。症状が出現した時にはすでに進行してしまった場合があります。尿異常を指摘されたら是非精密検査をお受けください。

腎臓病であれば運動を制限して安静にしなければならないのでしょうか?
以前は安静が腎臓病の進行を抑えるかもしれないと考え、運動の制限を行っていた時代がありました。しかし、運動が腎臓病の進行を抑えるという証拠はなく、現在では基本的に運動の制限は行っていません。運動の制限は子ども達の心身の発達に大きな悪影響があり、病状によりますが運動の制限は行わないようお願いしています。
腎臓病であれば減塩食が必要でしょうか?
一律に減塩が必要ではありません。小児の腎臓病では、尿中に塩分が漏れてしまい塩分を負荷しなければならないこともあります。ただし、現在でも日本人は塩分摂取が多いと言われていますので、塩分の摂りすぎにはご注意ください。
ステロイド薬は副作用が心配で飲みたくありません。服用しなければならないのでしょうか?
たしかにステロイド薬は肥満や成長障害、易感染性など副作用が多く、慎重に使わなければならない薬剤です。しかし、かつては難治性で死亡率も高かった様々な病気がステロイド薬によりコントロール可能になりました。疾患によりますが治療に不可欠な薬剤です。ステロイド薬を減量するために様々な治療法も開発されています。ご心配があれば遠慮なくご相談ください。
役立つ情報のリンク

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