心臓はいわゆるポンプの役割をはたしています。 全身に酸素を供給し終えた静脈血は上大静脈と下大静脈を通って右房に還流してきます。
この血液は三尖弁を経て右室に入り肺動脈に駆出され、肺で酸素化された後に左房に還流します。
この酸素化された血液は僧帽弁を経て左室に入り大動脈に駆出されます。
左右の心房、心室の間には隔壁として心房中隔と心室中隔があります。
心臓血管外科
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診療内容
当科では,外科的修復術が可能な先天性心臓病に対するすべての手術を行っています。それぞれの心臓病で手術方法、手術時期が異なり、一度の手術で完全に治せるものから複数回の段階的手術を経て最終ゴールへ到達できるものまで様々です。先天性心臓病の中には、出生直後に緊急で手術を行わなければ救命できないものや、急速に状態が悪化し早急に手術をしないといけないものがあり、当科では毎日の予定手術のほかに、このような急患手術も随時受け入れられる態勢を取っています。
また、近年の先天性心臓病の胎児診断の普及に伴い、重症心臓病の症例は母体管理から計画分娩、出生後の緊急手術に対応できる体制も整えています。手術フロアーではバイオクリーン手術室を2室有しており、そのうちの1つは外科的治療とカテーテル的治療の同時施行が可能なハイブリッド設備を有しているので、リスクの高い新生児複雑心奇形の救命的姑息手術や血管狭窄病変に対する治療、また将来的には肺動脈弁閉鎖不全症に対するカテーテル的弁置換術などに対応可能です。小児循環器科や新生児科、また産科、麻酔科とのチームワークのもと、周術期管理を含めより安全でより侵襲の少ない高度の外科的治療を行っています。
科の特徴・特色
当科では、特に新生児期や乳児期の手術が占める割合が多いのが特徴です。また、複雑心奇形に対する根治手術が多く、左心低形成症候群に対するノーウッド手術や機能的単心室症に対するグレン手術、フォンタン手術の手術症例数は全国有数です。
1980年の病院開設以来の当科における心臓血管手術の総数は13,000例を超えるまで手術症例数が増加しています。これは小児心臓血管外科としては全国トップクラスです。また、当院は先天性心臓病治療の基幹施設であり、九州圏内のみならず全国から患者さんの紹介やセカンドオピニオンの依頼、また手術の依頼が多いのも特徴の一つです。
主な対象疾患
当科では、全ての先天性心臓病の外科治療を行っています。完全大血管転位症や大動脈縮窄および大動脈離断症、また総肺静脈還流異常症や左心低形成症候群など新生児期に手術を必要とする疾患から、ファロー四徴症、心室中隔欠損症、房室中隔欠損症など乳児期に手術を行うことが多い疾患、また心房中隔欠損症など年長児まで待てるものなど様々なものがあり、それぞれの患者さんの病態に応じた適切な手術を適切な時期に行っています。
診療科より
当科では、より安全で確実な心臓血管手術をめざして様々な工夫と取り組みを行っています。新生児期、乳児期早期の大動脈弓の形成が必要な開心術では従来行われていた循環停止法を完全に回避する新しい体外循環法(Total body perfusion法)を独自に開発して臨床応用しています。また、体外循環中は血液中に有害物質を除去する限外濾過法(ultrafiltration法)を併用するなど、より低侵襲で安全な手術を行っています。当科では、心臓病をお持ちのこども達の病態に応じた適切で確実な外科治療をこころがけ、心臓病を持ったこども達とそのご家族が少しでも最適な生活を送れるように豊富な経験と最新の技術で日々の診療を行っています。
外来診察
毎週木曜日の午後から心臓血管外科手術を受けられる方を対象とした専門予約外来を行っております。手術方法、手術内容をわかりやすく専門医が説明しておりますので不明な点があればご遠慮なくお聞きください。