福岡市立こども病院

2019年度

開催日程 年7回(4月~6月、9月~11月、2月)
  • ※ 6月と10月は「東部地区小児科医会」との合同開催です。
場所 2階 講堂
  • ※2022年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、講堂での開催を中止し、Web開催となっております。
時間 19:00~20:30
対象 医療に従事される方が対象のカンファレンスです。
参加費 無料
備考

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初回のみ申込みが必要です。
お申込みは下記のアドレスまでお願いいたします。

お問い合わせ先 【事務局】 福岡市立こども病院 こども病院カンファレンス担当
TEL:092-682-7000
E-mail:mos.k(at)fcho.jp
※ (at)は@に置き換えて下さい。

過去の講演会はこちら

開催回 講演内容
第317回
2019年04月16日
夏かぜに伴う神経合併症(トピックス)

小児神経科:吉良 龍太郎

ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱は、主に夏季に流行するいわゆる‘夏かぜ’の代表的疾患である。これらの病原体のうちエンテロウイルスは無菌性髄膜炎、急性脳炎、脊髄炎といった中枢神経疾患や心筋炎などの重篤な合併症を起こすことが知られている。なかでもエンテロウイルスA71は脳幹脳炎を引き起こし、これまでアジア諸国から多数の小児死亡例が報告されている。夏季を迎えるにあたりこれらの合併症を再認識する必要がある。

脊髄係留の新たな病態概念(トピックス)

脳神経外科:森岡 隆人

脊髄係留(tethered cord)は、二分脊椎を病態基盤とする病変によって、脊髄円錐が尾側に固定された状態である。成長に伴って脊髄が牽引されると、尿便失禁や下肢の運動・感覚障害などの新たな神経症状を呈することがあるので、これらを早期に診断し、予防的に係留解除術(untethering)を行うことが重要である。脊髄係留の原因として、最もよく知られ、尚且、最も頻度の高いものは脊髄脂肪腫であるが、近年、限局的な一次神経管閉鎖不全に伴って神経・皮膚組織間の連続性が索状物(fibroneural stalk)として残存するlimited dorsal myeloschisis (限局性背側脊髄裂)や、二次神経管の障害に伴うretained medullary cordの病態が注目されている。これらの病態とその脳外科的治療について、我々の得た知見を紹介する。

開催回 講演内容
第318回
2019年05月21日
蕁麻疹のABC ~蕁麻疹診療ガイドライン2018~(トピックス)

皮膚科:工藤 恭子

蕁麻疹は比較的よくある疾患で、一生のうち5人に1人は経験するとされている。2017年に欧州のガイドラインが改訂され、2018年に日本皮膚科学会の蕁麻疹診療ガイドラインが7年ぶりに改訂された。原因が特定できない特発性の蕁麻疹もよく経験する。まずは意外と難しい、皮疹から蕁麻疹と診断をつけること、抗ヒスタミン剤を出したけれど効かなかった場合の次の手など、日常診療で少し役立つことを紹介したい。

1型糖尿病の最新治療(トピックス)

内分泌・代謝科:大山 紀子

1921年インスリンの発見以来、1型糖尿病治療の歴史は約100年となる。その間、インスリンは遺伝子組み換えヒトインスリン、そしてアナログ製剤へと進歩した。近年は機器の進歩がめざましく、血糖自己測定器、持続血糖測定器、インスリンポンプが発展し、最新のポンプでは低血糖を感知あるいは予測して、インスリン注入を自動停止する機能も備えている。最新の1型糖尿病治療について紹介する。

開催回 講演内容
第319回
2019年06月18日
リンパ浮腫について(トピックス)

形成外科:川上 善久

本邦において、リンパ浮腫と言えば主にがんの術後に起こる続発性リンパ浮腫を指す。 しかし、稀ではあるが、原発性リンパ浮腫という疾患も存在し、平成30年4月には小児慢性特定疾病に加えられた。 現時点では原発性リンパ浮腫に対する有用な治療はないが、最近のリンパ浮腫に対する検査法・治療法を紹介する(検査・治療の紹介において、成人例を使用しているものがありますので、ご了承ください)。

鼻性頭蓋内合併症の2例(リフレッシュコース)

総合診療科:諸岡 雄也

副鼻腔はcommon diseaseの一つであるが、解剖学的に中枢神経系に近接しているため、時に頭蓋内合併症を来すことがある。 副鼻腔炎の合併症には頭蓋内合併症 (硬膜下膿瘍,硬膜外膿瘍,髄膜炎,脳膿瘍,海綿 静脈洞血栓症) と眼窩内合併症 (眼窩蜂窩織炎,眼窩骨膜下膿瘍) が知られている。 今回、副鼻腔炎からの波及と考えられる、眼窩骨膜下膿瘍を伴う硬膜外膿瘍の13歳男児例、 および、細菌性髄膜炎の10歳女児例を経験した。2症例を提示し、鼻性頭蓋内合併症について概説する。

開催回 講演内容
第320回
2019年09月17日
赤ちゃんの外性器の診かた(リフレッシュコース)

新生児科:楠田 剛

男女の性別は出生時に判断されますが、あいまいな外性器の場合はその判断が難しく、また出生届は生後2週間以内の提出が定められており、性決定に緊急を要する場合があります。当院は全国に28ある性分化疾患診療の中核施設であり、あいまいな外性器の新生児が入院します。内分泌科、泌尿器科、新生児科、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカー、地域医療連携室等他多職種が集まり性決定委員会を開催し、家族の意向も含めて性決定を行っています。今回,日常診療で遭遇する、小陰茎や停留精巣,陰核肥大等で紹介された症例を提示しながら,性分化疾患について解説します。

胎児を取り巻く環境について~エコチル調査から見えてきたこと~(トピックス)

九州大学医学研究院 保健学部門 教授:諸隈 誠一

Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)とは、胎児期の環境によって成人期に発症する様々な疾患の素因が形成されるという概念であり、近年、関心が高まるとともに重要性が認識され始めた。本発表では、こどもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)のデータや日本産科婦人科学会周産期登録データベースなどの解析から見えてきた現在の胎児を取り巻く環境や子育て環境について報告する。

開催回 講演内容
第321回
2019年10月15日
プロカルシトニンの基本と使い方~新生児発熱の症例から~(リフレッシュコース)

小児感染症科:村田 憲治

プロカルシトニンは2006年に保険収載された比較的新しい感染症マーカーであり、主に敗血症や重症細菌感染症の診断の補助として用いられている。今回、日齢23の新生児発熱の症例から、古典的炎症マーカーである白血球数・CRPとプロカルシトニンを組み合わせることの有用性を示し、さらにプロカルシトニンの機序・特徴や臨床での応用、また使用する際の注意点などを概説する。

唇顎口蓋裂児の術前顎矯正治療(リフレッシュコース)

小児歯科:松石 裕美子

唇顎口蓋裂に対しては多職種によるチーム医療が行われている。手術・治療法は日々進歩しており,術前顎矯正治療の早期介入が,良質な外科手術に寄与すると考えられている。唇顎口蓋裂児の鼻・顎形態は,偏位・低成長という言葉で特徴づけられる。顎形態に対しては,口唇テープとHotz床による顎発育誘導を行っている。口唇・口蓋形成術までに,歯槽・口蓋の左右対称の円滑な形態と裂の狭小化を目指す。鼻形態に対しては,形成外科と連携の元,PNAM(Presurgical nasoalveolar molding)を用いた鼻歯槽矯正治療を行っている。今回,当科で実施している術前顎矯正治療の概要について報告する。

開催回 講演内容
第322回
2019年11月19日
食物アレルギーの最前線〜経口免疫寛容を誘導する離乳食〜(トピックス)

アレルギー・呼吸器科:碇 航太

食物アレルギー発症のメカニズムとして、経皮感作と経口免疫寛容の概念が確立されてから10年以上が経とうとしている。しかし、臨床の場において、実際にこの概念をどう生かし、どのように患者さんに伝えていくかについてはまだ十分に普及していない。食物アレルギー発症予防の観点から見た離乳食の進め方、スキンケアの重要性、専門施設への紹介のタイミングなどを実際の症例を交えながら概説する。

気管切開術と喉頭気管分離術(リフレッシュコース)

耳鼻いんこう科:村上 和子

気管切開術と喉頭気管分離術は、外見は気管孔が頚部正中にあるという一見同じ状態でも、手術の目的や術後の状態は異なるものである。気管切開カニューレを挿入することにより生じるカニューレトラブルも少なくない。当科での症例提示も行いながら、耳鼻科的な視点から考えてみたい。いざ患者さんを目の前にした際に、どういうことを把握したらよいのか(呼吸・嚥下・発声の状況、事故抜管や緊急時の呼吸管理方法)の理解につながればと思う。

開催回 講演内容
第323回
2020年02月18日
小児の血液浄化療法の適応とその実践

集中治療科:藤井 俊輔

急性期疾患の血液浄化療法は急性腎障害に対する持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration; CHDF)といった腎代替療法(renal replacement therapy; RRT)としての適応と、急性肝不全に対する血漿交換(plasma exchange; PE)といった病態に関わる物質除去や補充を目的とした適応に大別される。近年、小児科領域においても様々なガイドラインで血液浄化療法に対して言及されており、治療の標準化が図られているが未だエビデンスが不足している。近年の小児血液浄化療法の理論と適応疾患に関して、当院での試みも踏まえ紹介する。

未熟児網膜症診療

眼科:岡本 美里

未熟児網膜症は在胎28週未満でほぼ100%発症し,小児における主要な失明原因にもなっています。今回は未熟児網膜症の病期分類と治療適応を写真とともに示し,また抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)治療薬の硝子体内注射という最新の治療法や,未熟児網膜症の重症化の指標について,最近の知見もふまえてお話しします。

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